奨学金の返済不能・借金問題
現在、少子化といわれるように子供の人数が減り、逆に大学の数が増えているので大学の定員割れという話をよく耳にします。つまり大学の進学を希望すれば、とりあえずは大学に入学できる時代なのです。
また奨学金制度もありますので、家庭の事情で進学を断念するという事も以前に比べて減りました。しかし、この奨学金を安易に考えてしまうと、後々とんでもない事になります。実際に「奨学金が返済できない」という事が社会問題になっているのです。
大学と奨学金の関係
大学に通う場合、国立大学の学費の平均が4年間で約214万円、私立大学の学費の平均が4年間で約340万と言われています。
詳しくはこちらで 国立大学の学費
私立大学の学費
親に全額負担してもらえる家庭なら良いですが、実際には大学生の50%以上が奨学金を受給しながら大学に通っているのです。
では1人当りどれぐらいの金額を借りているのでしょうか?
奨学金には様々なタイプがありますが平成24年にだされた文部科学省のデータによると奨学金の平均貸与金額は約295万円という金額がでています。
なぜ奨学金を返せないのか
多くの先進国には返還の必要のない給付型奨学金がありますが、日本の奨学金制度は大学卒業後から返済しなければいけません。つまり大学卒業と同時に借金を背負った状態で社会人としてスタートするのです。
現在、日本では奨学金の滞納が問題になっています。平成22年度の調査では33万人以上の人が総額925億円を滞納しているという発表がありました。では何故返せないのでしょうか。
その理由は昔と社会構造が大きく変わってしまったからです。
奨学金とは「大学を卒業後、就職して安定した収入を得るようになってから、月々返済してください」という形だったのですが大学を卒業しても就職が保証されない社会になってしまったからです。大学を卒業しても非正規雇用という形で働きだした人は収入も安定しませんし、途中で契約をきられてしまう事もあります。つまり滞納者のほとんどは返したくても返せない人たちなのです。
奨学金を滞納すると、延滞金が課せられ、個人信用情報機関に個人情報が登録されてしまい、将来的にクレジットカードやローンが利用できなくなると言うリスクもあります。
大学で勉強してより良い人生にするために利用した奨学金が人生の足枷になってしまっているのです。
社会問題に対する政府の対策
奨学金の滞納が社会問題になっている事を政府も重く考え対策が議論されています。
返済義務のない給付型とまではいきませんが、「より柔軟な所得連動返還型奨学金」です。
奨学金返還者の年収により返還額を増減しようというもので、検討案では課税対象所得の9%を年間の返還額とする方式、課税対象所得の上昇に応じて返還率を9〜11%に上げていく方式の2案が示されています。いずれの場合も、現行の定額返還に比べて、年収の低いうちは返還額が月数千円と安くなり、逆に年収が増えれば返還額は定額返還額より多くなっていくというシステムです。
確かに、そのような制度も大切ですが根本的な問題として、景気が回復して就職できない事がないような社会が理想ですね。
奨学金を考えている人
奨学金は親の借金ではなく自分の借金であるということを考えて家族でしっかり話し合いましょう。
月々の返済がたかが、2〜3万だとしても、働きながら、一人暮らしをしていると、たった数万でも返すのもしんどくなることも考えられます。
後悔しない選択をしてくださいね。